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◇アーティフィカル=ロード <ArtificalLord>名/集

  ジーンテクトニクス研究開発組織、またはその創造物。
 《解説》
 21世紀にはいると爆発的な勢いで生命科学/技術、つまりバイオテクノロージーが進歩した。特にジーンテクトニクス(遺伝子構造学)の発達は顕著で総合開発研究機関の設立が学会内で求められるようになった。そこで2041年、アーティフイカル=ロードが国際組織として結成され、世界中の科学者やその権威が集まり研究を行った。しかし、その組織の半分は闇に埋もれ非公式に様々なタブーとも言える実験を繰り返していった。その中には当然人類の益となったことも多々存在し、あの風邪の特効薬を開発したアーノルド=スワルフ博士もアーティフイカル=ロードの一員であったた。しかし、その一方で遺伝子技術の可能性を推し量るため様々な遺伝子の調合や製造がされ、グリフォンやペガサスのような架空の生き物たちが生み出され、中には翼の生えた人間やラミアの様な人間も生み出されることとなった。
 またアーティフカル=ロードは軍事兵器の開発にも関わり、あの悪名高い ガーゴイル 、つまり白兵戦闘専用の人造生物を生み出した。
 2105年に国連は生物倫理機構(BEC)を発足させ、これにより軍事生物兵器の開発が部分的に禁止されたためアーティフカル=ロードは公式には解体されたが、開発中もしくは凍結中のサンプルは残され、しかもアーティフィカル=ロードの地下組織は活動を続け、非公式にはその地下組織から技術提供や製品の発注をした政府も存在したといわれる。
 アーティフカル=ロードは、その後、歴史の裏から人類の医療と軍事を支え続けました。2297年の地球脱出で組織は事実上解散し歴史の裏からも姿を消したが、開発サンプルは、無害と思われる物が2350年代より徐々に解凍され現在はその特異な姿を見かけることがある。

◇アウセプター <aucepter>名/化

 テラフォーミング時に用いられる物質。捕獲気体。
 《解説》
 大気の理想化には「アウセプター」という捕獲気体が不可欠でこれのが発明されていなければ、現在のような高速の テラフォーミング は不可能であったことは疑いない。今現在人類が通常生活を営んでいる天体は全て地球のサイズ以下で自然重力も小さい天体ばかりであり、そのような環境下では恒星風などの影響で大気が宇宙に吹き飛ばされ、必要な大気構成と気圧が得られない。そこで発明されたのが「アウセプター」でこれには窒素用アウセプター、酸素用アウセプターなどそれぞれの気体の分子構造ごとに様々な種類のアウセプターがある。アウセプターは自然気体と比べると二酸化炭素より重い気体で、大気中に放出されるとそれぞれ適応する気体を捕獲。この際、アウセプターも捕らえられた気体も一切化学変化は起こさず自然気体はその性質を保ち続ける事が出来る。しかし捕らえられた気体はアウセプターの重みで地表面に降下。これにより 火星 ではオゾン層を含む成層圏までを地球とほぼ同じ50kmで構成することが出来る。しかし実際には重力発生プラントも併用されるため、さらに低高度で構成することが現在では可能である。
 因みに、アウセプターは呼吸、光合成を行う動植物の体内に入ると動物の場合肺胞侵入時に気体を解放しそのまま自身も体内を血液等と一緒に巡り、液体中では捕獲手が働かないため何物にも反応することなく再び呼吸により大気中へ放出され、また捕獲適応の気体を捕獲する。

◇アルクセイマ(新国 <the Neostate of Al-Quseima>名/国

 ケンタウルス座アルファ星系第五惑星、またはその国家。
 ≪解説≫
 2120年、有人恒星間飛行計画によって発見された惑星アルクセイマは、テラフォーミングレベルB-と当時では最も地球に近い環境を有した天体であった。
 2203年、学者・民間人合わせて13000人もの実験的移民船団が テラフォーミング の規格を備えて出航した。以降、随時移民が送り込まれた。
 これは、当時太陽系内では支えきれなくなると思われた人口増加に対応すべく系外惑星への移民を目指した実験であった。
 当時のテラフォーミング技術は光熱取得の効率が極端に悪く、木星衛星カリストのテラフォーミングは始まっていたが、さらに太陽系外縁の天体の開発は不可能と考えられた。
 しかし、 トランスポートゲート の開発により2275年に土星衛星タイタンのテラフォーミングに高効率で成功すると、太陽系内での人類の居住圏が拡大可能になったためアルクセイマは取り残されたような感じにおそわれた。実際、そのトランスポートゲートを使った移民の急激な増加もなく、2297年以降の 第二次方舟計画 によって大幅な人口増加を見た。

 惑星アルクセイマは赤道半径5065キロの天体で自転周期28.5時間、公転周期537日の地球型惑星で衛星はない。液体の水を有するライトグリーンの惑星でテラフォーミング以前は原始的な動植物が生息していた。

◇イスラム連合 <United Nations of Isram >名/集

 地球の中東地域で結成された経済協力体制。ケジオット独裁政権。
 ≪解説≫
 21世紀の中盤に差し掛かると火星テラフォーミング計画などが本格化し、人類社会は宇宙に向かって大きく流れ始めた。月、火星、小惑星帯、木星圏へと拡大していく人類社会にあって地球は徐々に政治経済の中枢たる役割を失っていった。
 地上では既存の国家の飛拡領の保有や分離・拡大再編成が相次いだ。その中でイスラム連合は2199年にイスラム協調条約がイスラム諸国間で結ばれ誕生した。
 イスラム連合はいわゆるパレスチナと言われる地域にその中枢であるパレスチナ協調会議を設置。恒久和平のシンボルとした。
 古くから続いていたパレスチナ問題は宗教対立を中核にした領土紛争であったが1996年の「イェリコの誓い」が国連の介入により成立し、一応の解決を見せた。その後も小規模の小競り合いがくり返されたが、しかし着実に中東和平の歩みは進んだ。そしてその証であり集大成とも言えるのがイスラム連合の結成であった。
 中東地域は21世紀の中盤まで当時の主力エネルギーであった石油の産出を中核とした産業が発達した。しかし、石油の枯渇後は確実に経済的衰退を見せ、第三次産業を中心とした新産業へと転換していった。安定的な経済状態は続いた物の躍進を見せることはなく、停滞した景気が中東を包んでいた。
 そこで2199年、新たなる工業成長を遂げるべく、中東拡大宣言が採択されイスラム連合の結成に踏み切ったのである。

 結成当時の加盟国はイスラエル国・レバノン共和国・ヨルダン=ハシミテ王国・シリア=アラブ共和国・北サウジアラビア王国・南サウジアラビア共和国・アラブ共和国・イエメン共和国・イラン=イスラム共和国・イラク共和国・クウェート国の11ヶ国であった。その後オマーン国・アフガニスタンイスラム国・パキスタン=イスラム国・トルコ共和国などが相次いで加盟し、連合は飛躍的に拡大した。
 特に後の加盟国の大半が主力産業を持たず、また国内不安が拡大していた。そしてその打開策として成長と安定を見せつつあった連合に加盟する国が増加していった。イスラム連合は2245年に勃発した第二次環太平洋戦争により特需景気に沸き、急激な経済的成長を見せた。また、各国の併合に伴いその軍事力は世界第二位となっていた。
 20世紀末に統合を見たEU、21世紀初頭に成立した東南アジア諸国連合などの超巨大政治経済政体が内部的に崩壊しつつあった当時にあってそれは驚くべき成長であった。

 イスラム連合はパレスチナ協調会議議長を盟主とした連邦型政治形態をとっていた。特に第一代議長ベエルシヴァ=ナタニアや第5代議長ハデラ=ハンユニスの手腕により堅固で良質の民主政治が発達した。
 しかしながらその民主政治が徐々に議会内の勢力争いに火を付け始めた。第8代議長ケジオット=アスケロンは周辺の議会内勢力を統合し実に18年もの間、議長の座に座り続けた。ある意味に於いて天才的な政治家であった彼は、周囲の非難を浴びつつも、その手腕に喝采を送る勢力の方が大きく次第に力をつけていった。
 軍出身者であったケジオットの展開する政策は、やがて軍事独裁政権の様相を呈していった。連合は、国力増強を目指し2265年8月21日、武力をもってウクライナ共和国へ侵攻した。ウクライナは当時世界第5位の穀倉地帯であり、イスラム連合は結成直後よりウクライナへ加盟の圧力をかけ続けていた。それに対し国連軍が介入、ウクライナは中立地帯となり勝敗の決まらぬまま暫定的な停戦が結ばれた。
 その後、一気にイスラム連合加盟国は増加する。トルクメニスタン・バーレーン国・カタール国などの当時の対立国を初め北アフリカのイスラム各国が加盟。再侵攻によりウクライナを占領した連合はその余勢をかって、最後まで加盟拒否を続けいていたニジェールを攻め落とした。
 イスラム連合の面積は4倍にふくれあがり、経済力は6倍。またサハラ耕地のほぼ全てを手中にしたイスラム連合の政策により、世界の食糧物価は一気に跳ねあっがった。

 2282年、アメリカを中核とした国連軍がアルジェリアを攻撃すると、イスラム連合との全面戦争に突入した。いわゆるフェザン会戦である。アフリカ西端部から一気にアメリカ本土を爆撃する事に成功した連合の攻撃はやがて残忍さのみを含んだ無差別攻撃へと暴走し始めた。2292年にニジェールが再決起しアルジェリアに逆侵攻すると、にわかに連合の結束と体勢が崩れ始め、2294年にはトルコとイエメンが離脱を宣言。連合が武力制裁を両国に加えると益々連合からの離脱国が増え、またそれまで中立を保っていた中国も国連軍側にて参戦。世界戦争へと発展した。

 2396年10月1日。アメリカがこの世界大戦、後に言う第三次世界大戦に終止符を打つべく開発して間もない縮退爆弾の使用による中枢部破壊を国連へ提案する。しかし、国連はこれを認めず、周辺勢力のそぎ取り策を継続する方針を改めて明確化した。
 しかし、アメリカはこれを不服とし翌2日国連軍から離脱。単独でのイスラム連合への武力制裁を開始した。そして同月9日午後9時30分12秒。インド洋沖から発射された縮退爆弾が打ち上げ直後に暴走。瞬時に5億人以上もの人命を奪い、地球を一瞬にして死の惑星へと変貌させた。結果としてイスラム連合は解体されたが同時に地球上に存在した200以上の国家も消滅させる結果に終わり、第三次世界大戦は最悪の戦争としてその幕を閉じた。
 
 

◇ウラヌサリア帝國 <the Uranusulia Empire>名/国

 太陽系にある土星・天王星・海王星圏を領宙とする国家。
 《解説》
 2261年、地球でも1、2位を争う ロットヴァイル重工 の経営者 ハイメルス=ラッセン がタイタンを中心に土星衛星の テラフォーミング を行ったのがそのはじまり。彼は2273年に ココモ工業 を合併し エルステーノ造船 と提携し、当時実験テストが行われたばかりの トランスポートゲート を使用した大規模で画期的なテラフォーム法を開発し、短期間にそれら衛星群の地球環境化に成功させた。
 2283年、彼はタイタンに帝政を中核とした「民主−帝国制」を敷いた土星帝国の建国を宣言。完全に民主主義一色であった人類社会としては歴史的教訓からもその建国を認める訳にはいかなかったが、当時世界規模の戦争中であった地球側にはそれを阻止するだけの余力はなく、また火星政府はエルステーノ造船の絡みにより様々な思惑の末、容認する結果となる。
 その3年後ハイメルスは息子のウィリアムに帝位を譲る。
 土星帝国の成長はめざましく2292年には一気に海王星のトリトンのテラフォーミングに着手し、国名は土星帝国から土星と海王星の間にある天王星の名を取ってウラヌサリア帝國に改名。これにより帝國は30.75×108kmに広がる巨大な領宙を持つこととなる(因みに太陽から地球までの距離は1.496×108kmである)。
 彼の存命中にはこれといった失政はなく54歳で未知の膠原病にかかり死去。第三代皇帝には当時36歳だったアケミ=ザクダスがその帝位に就き経済体制の安定化を終えたウィリアムの遺志を継ぎ、続いて社会資本の増強に取りかかる。ウラヌサリア帝國建国の母体であったロットヴァイル重工は完全に民間に返上され、またその他の企業と共に造船・医療品・精密機器などの高等技術工業製品の製造販売が盛んとなる。
 ザクダスが70歳で死去すると第四代皇帝としてミドラー=リが選任されるが、彼は民間企業を国営化し社会資本への投資を激減させ、また軍需生産に比重を置き軍国化の色を強めていった。経済的には飛躍的な成長を遂げるが社会的には衰退し始めた。
 リが至尊の冠を戴いた15年後の2356年、ウラヌサリア帝国の各地で同時に大規模な武力蜂起が起こる。後に「天戮のクーデター」と呼ばれるもので、その首謀者は当時18歳で、現第五代ウラヌサリア帝国皇帝のシルヴァー=タカナシであり、リ皇帝を拘束し公開処刑に処す。当時の政治に抑圧されていた人々から絶大な賞賛を浴びる。タカナシ自身は皇帝の地位に就くつもりは毛頭無かったが、周囲の圧倒的な支持に応えるかたちで3年後、帝冠を戴くこととなり現在に至るまでその政治的手腕を奮っている。

◇エアー=フレームワーク <the air=framework>名/技

エルステーノ造船 <El-Stanoe Shipbuilding ,Ltd.>名/集

 世界最大の造船会社。
 ≪解説≫
 エルステーノ造船は2177年、当時 テラフォーミング が開始されたばかりの ガニメデ火星 資本により創設された。当時、木星圏は膨大な水と資源を抱えた未開発地域で、それらの好立地をいかした産業がエルステーノを中心に開始された。
 2203年に出航した アルクセイマ 移民都市船を設計開発したのもエルステーノでその技術力は当時すでに世界最高のものであった。2235年に発動した トランスポートゲート 計画は 地球 資本の ココモ工業 とエルステーノ造船を中心とした歴史的事業で2265年の トランスポート 成功によってその地位は不動のものとなった。
 2270年にはその後の造船産業に大変革をもたらすことになる「 エアー=フレームワーク 工法」を独自に開発し、他の追随を許さない世界最大の造船会社となる。2273年には地球圏最大の工業会社「 ロットヴァイル重工 」と提携を結び土星の衛星タイタンのテラフォーミング事業に参入する。また、当時、地球上では後に言う 第三次世界大戦 のさなかであり、多くの軍需契約を各国と取りつけていた。
 ロットヴァイル重工を産業中核にした、後に ウラヌサリア帝國 となる土星帝國が建国されるとエルステーノ造船は土星帝國政府との契約を取りつけ、さらに拡大を続けた。
 24世紀にはいると次々に新設の造船会社が現れ、しのぎを削ることとなる。
 現在、火星圏にはチェルノフツイ社、アスタウンディング社が権勢で、木星圏ではエルステーノ、スターシップ社、ウラヌサリア帝國ではロットヴァイル重工が主力企業である。
  

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