■第1回 さよジュピを振り返って…
(2000/12/07)
1.1 言い訳じみたこと
先週まで、サイトに載せるためのコンテンツは出来上がっていたのに、ハードディスクが空っぽになってしまったので、また書かなければなりませんでした。しかも、まったく別の文章を。
というのも書き上げた文章は、さよジュピの背景を製作した日時と私の行動について、を書いたものだったからです。ハードディスクの中身がどこかに行ってしまった今、製作した背景もどこかに行ってしまいました。いや、別のところにバックアップはとってあるし、さよジュピの中にもちゃんと入っているんですが、なんせ全部合わせたら50MB以上にもなるし。日時だけ教えてくれといっても言いんですが、ピックアップするだけでも大変だし、そんなことを総指揮にやらせるのも可哀想ですし。
ということで別なことを書きましょう。以下は本当は、第2回に書く予定のものでした。
1.2 製作作業の軽減化について
さよジュピではどれだけ時間をかけずに製作するかという点を重視しました。これは決して手抜きをして製作するということではありません。結果としてクオリティーの低いものになったのは確かですが。
次の点を考慮に入れて製作をしました。
1.ポリゴン数をできるだけ少なくすること。
2.後からの変更が容易にできること。
3.3DCGソフト以外での加工、修正。
今回使った解決方法を書いておきましょう。
1.
・テクスチャをうまく利用すれば解決できるはずです。が、素材が少ないもので、何かと苦労しました。使われているテクスチャの半分は、Webコンテンツ用の背景として使うものです。もちろんフリーのものを使いました。残りはPlugInの生成するテクスチャです。
・遠くにあったり小さかったりで、あまり見えそうもないオブジェクトは思いきって手抜きします。画面では見えないオブジェクトや面は、どんどん削除していきます。「塵も積もれば山となる」ですから、少しでもいいから削るんです。ポリゴン数が減ると、レンダリング時間が相当短くなります。
2.
・「外部参照オブジェクト」を利用しました。別のファイルからオブジェクトを持ってこられるのです。しかも参照ですから、むこうで変更すれば、こっちも変更されます。これはパソコンの負担を軽減するのにも役に立ちました。
・オブジェクトはあとからポリゴン数を増減できるようにしておくべきです。メッシュ編集などは最終的な調整だけに使うようにし、それ以前はモディファイヤを追加することで何とか目的の形になるようにしていきます。こうしておけば、あとでポリゴン数が足りなくてでこぼこして見えるとか、こんなに小さなオブジェクトなのにポリゴン数が多すぎるとかいったときに容易に変更かできるでしょう。
・オブジェクトは必ず再現可能にしておくべきです。ちょっとしたことで最初からやり直さないといけないときに、再現性がなければ意味はありません。できるだけ少ない手順で作るようにすれば、ポリゴン数も減るでしょうし変更も簡単になるでしょう。
3.
・3DCGソフトがレンダリング時に同時生成するアルファチャンネルを利用すれば簡単です。別に背景となる画像を作っておいて、アルファチャンネルで抜いた画像と合成すれば、何通りかの背景がすぐにできるというわけです。実際にはほとんど使いませんでしたが。
・3DCGソフトに付属する環境効果は、本当に必要なときだけ使うようにします。2Dでの編集や効果の作業は、2Dソフトに任せればいいのです。こちらの方が簡単ですし多種の効果がそろっています。しかも処理が早いのです。
製作時間とリアリティの追求、どちらを重視するかで3DCGの製作方法というのは随分変わります。製作時間がたっぷりあるというのなら、オブジェクトのディテールまでこだわってもいいでしょうし、マテリアルを追求したり、ライティングやカメラにも気を配ればよりリアルな画像を得ることができるでしょう。しかし、最終的にできあがる画像の1ピクセルで表現できないようなところまで作っても、意味はありませんから折り合いをつけましょう。
1.3 ちょっと愚痴を
3DCGで生成される画像は綺麗です。ですが、綺麗すぎて逆にリアリティが失われことは多々あります。多少の「汚れ」が必要なのです。3DCGソフトは勝手に汚れを付けてくれませんから、こちらで汚してやる必要があるのです。汚しの方法については次回以降に回すことにしますが、私の作った背景には、私のスキル不足で十分な汚れがついていません。そこで作画監督や総指揮が、あとで2Dソフトを使って汚してくれました。私としてはその作業に対して多少の抵抗がありましたが、クオリティ向上のためには必要な作業でした。
とそこで思ったのですが、なぜに背景が3DCGなんでしょうね? 3DCGの有効な使い方としては、アニメーションとかシミュレーションとか、とにかく動画を伴うものです。よりリアルな画像を製作する時にも使うでしょうか。しかし背景は静止画で、それほどリアルなものでなくてもかまわないでしょう。背景のみを作ることは3DCGには向いていないのです。
どうして、3DCG担当の私が背景をやることになったんでしょう? いや、了承したことは覚えているんですが、起用の理由を覚えていないんです。恐らく、個人的に作った3DCGがリアルに見えたために、これならいけると総指揮が思ったんでしょうね。ちょっと認識が甘かったようですね(笑)。それと、私が暇になってしまうからでしょうか?(いや、タマカヅラでも背景やることになってたしな。)
3DCGで背景を作るのは、本当に面倒です。何をやるにしても、まずモデリングですから。机の上に紙1枚を置くにしても、平面オブジェクトを適切な位置で作成しなければなりませんし、鉛筆立てに鉛筆を1本入れるにしても、鉛筆をモデリングしてから鉛筆立てと交差しないように置かなければなりません。
それだけではありません。Vanishing-point(さよジュピじゃなくて、消失点の意)付近をどうするか、という問題もあります。そもそも3DCGでは地平線や水平線の表現が難しいのです。たいていはフォグなどで隠してしまったりしますが、それでもそれなりに遠くまでモデリングしなければいけません。2Dならちょいちょいと書けばできる作業(ではないのかもしれませんが)でしょう。
とにかく、背景を私にやらせたのは失敗でしたね。
1.4 最後に
肝心のテクスチャのバックアップをとっていなかったので、背景は再現不可能です。
さよジュピをご購入いただきました方様、大切にしてください。お手元の背景は唯一無二のものですから。
1.5 次回は…
3DCGの基本の「き」…3D→2D変換、座標系、マテリアル、レンダリング法
次回からは、実際の作成途中の画面もまじえて、ヴィジュアル的にわかりやすくしていきます。ってか、本当にできるの?――さぁ…?
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